この時期になると思い出す。
関東ではあるけど、千葉か埼玉のどこか遠くの大学に、きょうだいの一人Aの受験結果を見に行かされたこと。

きょうだいたちは、全員があの人にスポイルされて、成績はずっと悪かった。
どうスポイルされたかというと、家事をわたしが一人だけやらされ、成績も悪くないのに、勉強に関係ないと名作マンガも色つきリップもどんどん捨てられているのを目前に、家事はやらなくていい、お風呂や病院には召使のようにわたしが付き添う、成績が悪いのにヤンキーマンガのようなくだらないマンガは捨てられず、それどころか専用に本棚まで作ってもらえ、わたしの持ち物を興味本位で持ち出して庭に埋めても怒られず、という生活だったので、すっかり増長してしまったのだ。

当然、高校もレベルの低いところ。受けた大学も聞いたことのない学校。そしてそんな大学さえ受からないきょうだいAに、その後も夢物語みたいな専門学校にあの人はお金を出してやり、ますます社会への適応は遅れた。

そのきょうだいAが専門学校を出て、やはり就職口もなく、花屋になりたい、と言い出したことがある。かつて、わたしが大学時代に付き合って別れた元彼が、その頃、花屋に勤めていた。あまりよい別れ方ではなかったのだが、あの人は「あの彼に花屋に勤めるってどんな感じか聞くのって、世間におかしいって思われるかしら?」と言う。

世間の前に、娘がイヤだろうとは思わないのか、と呆れた。

きょうだいAはその後もネズミ講に引っかかり、こちらにしつこく勧誘してきたり、結婚したと思ったら浮気旅行に行ったり、奥さんの名義で高い車のローンを組もうとしたりして離婚。カード破産からの自己破産で、一時期は生活保護をもらうまでになった。

今は自活しているらしいが、おそらく彼は、知能指数がギリギリで低い、かわいそうな人なんだろう。あの人が、きちんと子どもそれぞれを観察して育てていたなら、あんなことにはならなかっただろうと思う。

その意味で、きょうだいもまた、あの人の犠牲者なのだ。

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