おなかが弱い子どもだった。
いや、病弱なので、おなかだけではなかったのだが。

それなのに、水泳教室に通わされていた。
あの人は、自分は泳げないし自転車にも乗れないのに、子どもにはヒステリックにそれを強いた。

その水泳教室を辞めることになったきっかけは、おなかを下して、大を漏らした状態で帰宅したからだと思われる。

駅のトイレに入ったものの、間に合わなかったのだ。そう怯えながら伝えたところ、「なんで駅員さんに言わないの!」と、やはりヒステリックに怒られた。

まず、子どもを労わるということのない人であった。

大人になってから労わるそぶりが見られることもあったが、それはだいたい「自分より幸せにならなくってよかった」という心情からのものであるように思える。
そういうときはだいたい、意地悪げに眉がひそめられ、唇の端が歪んでいるんである。

いや、いた、と言うべきか。なにしろその眉と唇の造作が、今ではほとんど刻み込まれているのだから。

精神は、顔に出るものなのだなあと、それを見るたびに思う。

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